私たちがいつも飲んでいる天然水には、硬度により分類分けがされています。大きく分けて軟水と硬水に分かれ、1ℓあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量で決まります。
実際のところ、硬度が違うことは分かっても、それにより何が違うのかは、あまり知られていません。
今回は硬水に焦点を当て、定義や特徴をご紹介します。
軟水の定義
まず、軟水か硬水かを決める基準についてご説明します。
水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれており、水1000mℓ中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表した数値を硬度といいます。
WHO(世界保健機関)の基準では、硬度120〜180mg/ℓ未満に相当する水が、硬水と定められています。ちなみに、180mg/ℓは、非常な硬水に分類されます。
日本においては少し基準が異なり、一般的には100mg/ℓ以上は硬水と定められています。
カルシウムやマグネシウムが多いため、口当たりは重く、硬水の天然水は飲みごたえがあるのが特徴です。
ちなみに、日本の水道水のほとんどは硬度50mg/ℓ程で、軟水に分類されます。日本で作られ販売されている天然水も、多くは軟水です。
そのため、日本人の口に慣れていないので、硬水を飲むと違和感がある人も多くいます。
硬水のメリット
ミネラルが豊富
カルシウムやマグネシウムといったミネラルが豊富な硬水は、ミネラル補給に適しています。日本人はミネラルが不足しがちと言われており、硬水の天然水を飲むことは、手軽なミネラル補給の手段です。
慣れるまでは、多少ミネラルによる苦味や独特の風味を感じることもありますが、慣れてくれば軟水と同じように、癖を感じることなくごくごく飲むことができるでしょう。
洋風の煮込み料理に適している
硬水には肉のアクを出しやすくしたり、臭みを消したりする作用があります。しかしその作用は強く、日本料理では、和食の鍵とも言えるアミノ酸やたんぱく質などの旨味成分も出してしまいます。
ですので、洋風の煮込み料理には特に適していると言われています。
動脈硬化の予防
硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムは、血液をさらさらにする作用があると言われています。
そのため、硬水を飲むことで動脈硬化の予防や、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを軽減することもできます。
便秘の解消
マグネシウムは、腸の働きを活性化する作用があるので、便秘に悩む方におすすめです。
特に、朝起きてすぐに目覚めの1杯を飲むと、胃腸への良い刺激となり、便意を促してくれます。
デトックス効果も期待できますので、美肌や健康にも良いのです。硬度が高いほど、マグネシウムが多く含まれているのでぜひ試してみてください。
硬水のデメリット
胃腸をこわす心配がある
便秘解消のメリットがあることをお伝えしましたが、硬水に慣れていない人が飲みすぎると、かえって悪い働きをすることがあります。
硬水に含まれるマグネシウムは、市販の下剤にも使われることがある成分です。軟水に慣れ親しんでいる日本人が急に硬度の高い水を飲んだり、量を過剰に摂取したりしてしまうと、胃腸を壊し、下痢などが起きることがあります。
慣れていない人が硬水を飲むときは、その中でも硬度が低めのものを選んだり、少しずつ飲んだりするのが良いでしょう。
スケールの付着
200mg/ℓを超える硬度の水は、スケールの付着を起こす可能性があります。
スケールとは、水中のカルシウムやマグネシウムが析出したもので、電気ポットややかんの口、加湿器の口などに付着する白色のものです。
風味を消してしまう
メリットでもご紹介した通り、強い消臭作用がある硬水は、風味や香りを残したい料理等には適していません。独特の味がするため、味付けの邪魔になるような料理や、ほかにもコーヒーや紅茶などにもあまり適していません。
普段の水を少し硬水に
日本では、あまり馴染みのない硬水。しかし、日本で売られている天然水のなかにはもちろん硬水のものもありますし、ヨーロッパなど海外で作られた硬水も、今では店頭・ネットともに簡単に入手できます。
洋風の煮込み料理をよく作る方、便秘を解消したい方、ミネラルが不足していると感じる方、多岐にわたっておすすめです。
普段軟水しか飲んだり使ったりしないという方なら、朝の1杯だけ硬水の天然水に置き換える、という方法も良いでしょう。
ぜひ、用途に合わせて硬水と軟水をうまく使い分けてみてください。
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