私たちがいつも飲んでいる天然水は、硬度により分類分けがされています。
なかでも日本人に馴染みがあるのは、硬度の低い軟水です。
日本で暮らしていると、圧倒的に軟水を口にする機会が多いですから、硬水との違いと言われても、そもそも硬水を飲まないからよくわからない…という方もいるのではないでしょうか。
そもそも水にこだわりがないと、軟水であろうと硬水であろうと特に変わりない、という方もいるかもしれません。
硬度が違うと、特徴にはどのような違いが表れるのでしょうか。
今回は軟水に焦点を当て、天然水の特徴についてご紹介します。
軟水の定義
まず、軟水か硬水かを決める基準についてご説明します。
水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれており、水1000mℓ中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表した数値を硬度といいます。
WHO(世界保健機関)の基準では、硬度0〜60mg/ℓが、軟水と定められています。
日本においては少し基準が異なり、一般的には0〜100mg/ℓと定められています。
カルシウムやマグネシウムが比較的少ない軟水は、口当たりがよく、飲みやすいと言われています。独特な臭いや風味がなく、抵抗なくごくごく飲めるのが軟水の魅力でしょう。
ちなみに、日本の水道水のほとんどは硬度50mg/ℓ程で、軟水に分類されます。
それは、水道水のもとである川や山などの水が軟水であるからです。天然水もこれらが原料ですから、日本では水道水も天然水も、ほとんどが軟水という訳です。
軟水のメリット
ミネラルが少ない軟水は、飲みやすいだけでなく、雑味が少ないため、素材の味を引き出す料理にも適しています。
また、身体への負担や刺激が少ないことも特徴です。
具体的なメリットの内容について、見ていきましょう。
和食に適している
和食、つまり日本料理は、素材の味を活かした繊細な味付けです。臭いや味がなく、癖のない軟水は、日本料理を引き立ててくれます。
また、お米を炊くときも、軟水が適しています。お米は水分を吸収しやすいので、一粒一粒に軟水が浸透し、ふっくらつややかな炊き上がりになります。硬水で炊くと、パサパサし、固くなってしまうことがあります。
日本茶を淹れる際にも、軟水はお茶本来の味を引き出すことができます。
和食に限りませんが、コーヒーや紅茶などにも同じことが言えます。
素材本来の味を楽しみたい食事や飲み物には、軟水が適しているのです。
赤ちゃんも安心して飲むことができる
軟水は、胃腸が未発達である赤ちゃんや小さな子ども、また、胃腸機能が弱っている人も、内臓への負担が少ない軟水ならば、安心して飲むことができます。
赤ちゃんのミルクに使用する水は、内臓等に負担をかけないよう、必ず軟水を選びましょう。
お年寄りや、消化器官に疾患がある場合なども同様です。
肌や髪に優しい
軟水はカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが少ない分、皮膚や髪の毛に与える負担も少ないのが特徴です。
逆に硬度が高い水でカラダや髪の毛を洗うことは、つっぱりやパサつきの原因となることがあります。海外で髪を洗ったらパサパサガサガサになった…という経験がある方もいるのではないでしょうか。
国ごとに、水道水の硬度にあったシャンプーやボディーソープは異なります。
日本で愛用している石鹸が、海外でも合うとは言い切れません。
泡立ちが良い
シャンプーやボディーソープだけではなく、洗濯の洗剤の泡立ち方も、軟水と硬水では異なります。
ミネラルには石けんの成分と結合して洗浄力のない成分を作り出す習性があり、洗剤の洗浄力を妨げるだけでなく、かえって衣服を汚してしまう可能性も否定できません。
軟水のデメリット
ミネラルの十分な補給は難しい
癖がなく飲みやすい軟水ですが、それはミネラルが少ないからであり、ミネラルを補給するという面では、適していません。
天然水を飲むことによるミネラル補給やデトックス効果まで期待したいという健康志向の方には、軟水では物足りないため、硬水が向いているでしょう。
水道管を腐敗させる可能性
硬度の低い水が流れる水道管は、腐敗性が高まると言われています。また、水道管だけでなくキッチンのシンクや調理器具なども、ミネラルが固まって白くなり、腐敗することが稀にあります。
しかし、こういったトラブルは滅多に起きるものではありません。
日本の水道水がほとんど軟水でありながら、このような事例が発生するのは稀ですので、あまり心配する必要はありません。
また、天然水においてはペットボトル等で購入・使用するのが一般的ですので、水道管の腐敗の心配は不要ですね。
軟水は日本に不可欠
日本の天然水や水道水の多くを占めているだけでなく、和食にも重宝されている軟水。
私たち日本人の生活に欠かせない水ということは、お分かりいただけましたでしょうか。
日本人に馴染みがあり、日本人の身体に合っている軟水。そして、赤ちゃんもお年寄りも、誰でも安心して飲むことができる軟水。
毎日飲み、料理にも使われる水だからこそ、安心して飲むことができるかどうかは、大切ですよね。
今後も軟水は、日本人にとって重要な命の源です。
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